看護師さんのためのドレーンの理解と管理講座

胸腔ドレーンの常識

胸腔ドレーンで、異常を発見した場合は、
「患者さんの病態に変化が起こった。」、
「ドレナージが正常に機能していない」
のどちらかが異常の原因になっています。
そのため、患者さんに何らかの異常を認めた場合は、
この2点を念頭において確認をします。

 

バイタルサイン・呼吸状態のチェック

 

患者さんの病態による異常を確認するため、
バイタルサインや呼吸状態のチェックを行います。

 

血圧・脈拍・体温のバイタルサインに加え、
SpO2(酸素飽和度)の数値を確認することが大切です。
さらに、呼吸数、呼吸音、呼吸の深さ、左右差の有無、胸郭の動き、
皮下気腫の有無なども確認し、意識状態や顔色なども確認します。

 

ドレーン回路・機能のチェック

 

ドレナージの機能不良による異常を確認するため、
ドレーン回路・機能のチェックを行います。

 

まず、排液の色、量、性状に変化がないかを確認し、
エアリークの有無や程度、呼吸性移動の有無や程度を確認し、
陰圧が保たれているかを確認します。

 

刺入部からドレーナージボトルまでの間で不具合がないかをみて確認し、
刺入部では出血や滲出液の有無、ドレーンの固定状態を確認します。
また、ゆるみやずれ、抜去がないかどうかも確認します。
ドレーンにねじれや屈曲、つぶれ、挟み込み、破損がないか、
凝血などによる閉塞がないか、管内に排液が滞っていないか、
回路の接続部にゆるみがないかどうかも確認します。

 

検査データなどのチェック

 

バイタルサイン、呼吸状態、ドレーン回路、ドレーン機能を確認しても、
いずれにも問題がみられないのに、ドレナージが正常に行われていない場合は、
ドレーンの先端が胸壁などに当たっていたり、
正確な位置に達していない事も考えられます。

 

バイタルサインや呼吸状態の確認、ドレーン回路、機能のチェックのほかに、
X線検査、血液検査データ、治療経過などの情報を収集し、
胸腔内の状態やドレーンの状況をみる事も大切です。
そして、病棟の先輩や医師に報告し、一緒に判断していきます。

 

血液検査で必要なデータ

 

・WBC(白血球)
・RBC(赤血球)
・Hb(ヘモグロビン)
・TP(血清総タンパク/Alb(アルブミン)
・CRP(C反応性タンパク/炎症マーカー)

 

基本的にクランプはしない

 

患者さんの移動や体位変換、寝衣交換のとき、排液が逆流する可能性を考えると、
クランプをすべきだと思うかもしれません。
ですが、胸腔ドレナージの場合は、基本的にクランプはしません。

 

なぜなら、クランプをすると陰圧状態が保てなくなり、
胸腔に空いた穴がふさがっていない場合、つまり水封室で気泡がみられる状態では、
緊張性気胸が起きるリスクがあるからでs。

 

患者さんが咳き込むなどして、胸腔の穴から大量の空気が出た場合、
クランプしていると空気の逃げ道がありません。
胸腔内に逆流してしまうことになります。
すると、肺虚脱の再発や皮下気胸を招くことがあります。

 

移動や体位変換は、ドレーンの屈曲がないこと、
しっかり固定されていることを確認してから行います。
ドレーンが正常に機能するようにドレーナージボルトを水平にすること、
逆行性感染を予防するためドレーナージボトルを常に胸腔よりも低い位置に置くことが大切です。

 

体位変換や移動が終わったら、再度、ドレーンの屈曲や接続部のゆるみがないか、
ドレーンが確実に解放しているかを確認することが重要です。

 

ドレーナージボトルが倒れると、水封や逆流防止弁が機能しなくなることがあります
水封や逆流防止弁が機能しなくなると、圧の調節が変化し、
ドレナージが効かなくなったり、逆行性感染が生じる事も考えられます。
ですから、ドレーナージボトルの固定には十分注意することが必要です。

 

クランプするとき

 

クランプするときは、以下の場合のときだけです。

 

@ ドレナージボトルを患者さんの胸腔よりも高い位置に置かなければならないとき。

 

A 医師が、ドレーン回路(ドレーン、ドレーナージボトル)を交換するとき。

 

B ドレーンを抜去する前に、肺の虚脱が回復していることを確認するとき。

 

ドレーンが抜けかかっていても入れない!抜かない!

 

ドレーンが途中まで抜けかかっていても、刺し戻したり、抜き取ったりしてはいけません。
途中でドレーンが切れてしまい、それが体内に残っている可能性もあります。
ドレーンの先端で胸腔を傷つけてしまう恐れもあるので、
挿入部位やドレナージの目的、排液の性状などによって抜去時の処置もことなってきます。
ですから、抜けかかっているのを発見したら、すぐに医師に報告し、
患者さんの様子を観察します。